キリンビール、工場での濾過計画にAI導入

どうも、かわばっちゃんです。

 

今回は、キリンビールが工場でAIを導入した事例を紹介します。

 

何にAIを導入したのか

 

 

ビールの醸造時の業務の一つである濾過計画を立てるプロセスをAIで自動化しました。

 

ビールの醸造プロセスは仕込み、発酵、貯蔵、濾過、保管・パッケージの順で行われます。

 

キリンビールでは、仕込みから濾過までを「仕込み・酵母計画」、濾過からパッケージまでの計画を「濾過計画」としており、今回はこの「濾過計画」をAIで自動化するシステムを作りました。

 

濾過計画とは

 

ビール製造の工程をさらに詳細に伝えると、麦芽のエキス分を抽出した後、そこに酵母を添加して発酵、熟成させ、その後に濾過し、容器に詰めて出荷します。

 

濾過というのは、この添加した酵母を取り除く工程のことを指します

 

酵母は生き物であるため、ビールの味や質はタンクごとに微妙な異なります。

 

複数のタンクを混ぜることで製品の基準に合わせます。

 

濾過後のビールは貯蔵できる期間が短いため、なるべく早く容器に詰める必要があるため、濾過する量を最適に決めなければなりません。

 

また、複数ある設備のどれを使用するのが最適かの判断も求められます。

 

この複雑な条件がある濾過の計画を立てるのが、濾過計画です。

 

 

なぜAIを導入したのか

 

この濾過計画を立てるのに、非常に時間がかかっていたため、その時間を短縮することが目的です。

 

この濾過計画を一度立てようと思うと、熟練の社員が最大6.5時間かけて考える必要がありました。

 

今回、AIを導入したことで、計画一回あたり最短で55分で可能になりました。

 

また、濾過計画を立てるには、熟練者をその業務の専任にし、その熟練者の知見から考えられていたため、属人的なノウハウに頼るところが大きかったという点も問題点となっていました。

 

その点もAIで解消できました。

 

 

技術の提供者は

 

NTTデータです。

 

 

 

私の見解

 

 

このシステムが最初に導入された福岡工場では年間約1500時間の業務が短縮されたようです。

 

また、その後、横浜工場、滋賀工場にも導入されたようですが、そちらは合わせて年間約2500時間の業務短縮になるようです。

 

この合計、4000時間の業務短縮は大きいですね。

 

それにノウハウが属人的になっているということは非常にまずい状況だと思います。

 

職人を育てることは大変な労力なので、必然的に職人は限られて来ますが、その職人が例えば新型コロナウイルスにかかったり、テックキャンプでIT業界に転職を考えてしまったら、大打撃です。

 

大企業ほど仕組み化が大事ですね。